漫画レビュー

【美味しんぼ】辛みの調和

美味しんぼを読んでみたいけど
「巻数が多すぎて読むのに時間がかかりすぎる」と
お悩みの方は多いのではないでしょうか。

そんな令和な人におすすめなのが、
本ブログの美味しんぼまとめです。

各回のまとめを覚えれば時間短縮はもちろん、
日常生活でするりと美味しんぼの名言を
活用することが可能になります。
もっと効率よく美味しんぼから蘊蓄を吸収したい方や、
大昔に美味しんぼを読んで記憶を取り戻したい方は
ぜひ参考にしてください。

今日覚えたい美味しんぼ


ワサビはサメ肌のおろしで擦ること

ワサビは醤油に溶かしてはいけないこと

自分が無知だと相手を理解できないこと

要点は抑えましたね、さあ行きましょう。

物語冒頭

大原社主の大学時代の後輩 佐藤が社主を頼って来社。
仕事の話かと思えば、なんと話題は息子の縁談。
公私混同じゃないのか、しかしこれは昭和の話。
話を聞いていきましょう。
 
佐藤の息子の縁談相手は伊豆の大地主 庄田。
その娘との縁談の為、東京で寿司屋の昼食会を
設けるところから話は始まります。

まずは一献とつつがなく始まる・・・
出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
6巻5話より

しかし事件はこの後すぐに起きてしまいます。

大地主の逆鱗に触れる

まずは突き出しにでもと、刺身の盛り合わせを注文し、
お味見にと佐藤は刺身をパクリ。
事件は次の瞬間に起こりました。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
6巻4話より

いきなり庄田は激高。
娘を連れて店を出ていき、縁談は破談寸前。
一体何が起きたのか理解できない佐藤。
藁にも縋る思いで先輩の大原社主を頼ったというわけです。
大原社主は、話から寿司屋で起きたことは食べ物に関連する、
これは山岡と栗田の出番だとばかりに
二人を呼びつけたわけです。

読み返してみてもやっぱり公私混同でした・・・。
これが新聞社の社主の力よ。
これには栗田も
「私たちにシャーロックホームズみたいなことはできない」
とやんわりお断りされかけるもまずは現地調査と
現場の寿司屋へ向かいます。

そして当時と同じように刺身の盛り合わせを注文して
味見を試みる・・・・山岡、あることに目が行きます。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
6巻5話より

おろしたわさびに醤油受けに浸されたわさび・・・
これら点と点が結びつける先には・・・

山岡は社主に明日伊豆に飛ぶ、
回答は帰ってくるまで待ってほしいと告げ、
栗田と一路、伊豆へ向かいます。

地主の正体はワサビ農家 

おおよその正体を頼りに山を練り歩く山岡と栗田。
どんな山の中でも黒スーツを崩さない山岡から
プロフェッショナルたる所以を感じます。

そして一行はついに庄田の名字をキーワードに
庄田ワサビ園を発見。
そこには恐らく今回の張本人庄田氏本人とみられる農家を
発見。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
6巻5話より

聞いていたような人間ではなく、
そこにはわさび栽培を家族のように接し真摯に打ち込む
男であることを山岡は見抜き、一つの結論にたどり着きます。

そして二人は再び東京へ・・・

知識が知恵になるとき

山岡と栗田は準レギュラー夏子の店に大原社主と佐藤を招待、
そしてまずはワサビのおろしについて解説し始めます。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
6巻5話より
金おろしとサメ肌おろしの香りと味の比較を促す山岡。
大原社主と佐藤はその違いに驚愕します。
サメ肌でおろしたわさびは香りの強さ、辛みの突き抜けに
雲泥の差があり、
あまりの違いに品種の違いではと山岡に問います。

ここは久々に山岡の薀蓄回です。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
6巻5話より
サメ肌のきめの細かさでわさびをおろすことで
ワサビに含まれるアリルゼンフォイルが揮発、
強い辛みと香味を引き起こすというわけです。

更に山岡は佐藤の刺身の食べ方についても言及します。
佐藤はこれまで醤油にわさびを溶かせて刺身を食していた
ところを山岡は見逃していませんでした。

そこで刺身の上に少量乗せて試すよう促し、
本来のわさびの楽しみ方を伝授します。
 
出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
6巻5話より
これにはわさびの辛み成分は揮発性のため、
醤油のような水分と化合すると飛んでしまうというからくりです。

これを受け、佐藤は今回の縁談の非は
自分にあることを理解します。

自分の子供のように育てたわさびを
ぞんざいに扱う姿を見て激高されたのだ、
自分の理解のなさが招いたことであると納得し、
人間関係の構築まで考えを深めます。
 
出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
6巻5話より

今回は漫画なので、これがリアルだったら
「やべえキチガイのオヤジが縁談相手の親だった」で
終わる話なのですが、
話は極端でも割とビジネスでは有効な話だと思っています。

逆にこれはわかりやすい例で、
自分が興味のない分野でも理解し知識にすることで
相手との関係構築に一役買える、知識が知恵に変化する話です。

以前、会社で気難しい相手との付き合い方でこの話を
持ち出したことがあるのですが全く理解してくれませんでした。

平成のキッズには少し刺激が強いのかもしれません。