漫画レビュー

【美味しんぼ】春のいぶき

美味しんぼを読んでみたいけど
「巻数が多すぎて読むのに時間がかかりすぎる」と
お悩みの方は多いのではないでしょうか。

そんな令和な人におすすめなのが、
本ブログの美味しんぼまとめです。

各回のまとめを覚えれば時間短縮はもちろん、
日常生活でするりと美味しんぼの名言を
活用することが可能になります。
もっと効率よく美味しんぼから蘊蓄を吸収したい方や、
大昔に美味しんぼを読んで記憶を取り戻したい方は
ぜひ参考にしてください。

今日覚えたい美味しんぼ


結婚前祝いに有志一同で
冷蔵庫を買ってはいけないこと

冬の間も野菜や魚は春を待ち望んで
懸命に生きていること

何もかも嫌になったらこの話を読み返すこと

要点は抑えましたね、さあ行きましょう。

物語冒頭

東西新聞社文化部に激震が走る

密かに社内で噂になっていた、
日川が結婚破棄されていたということを。

当の本人日川がお祝いをもらった同期へ商品券を
渡り歩くという悲しいところから物語はスタートします。
この日川、結婚式まで決まっておきながら
10日前に破棄され、
社内では噂の恰好の的となっていました。

この商品券を受け取った文化部の花村、
なんと有志一同で冷蔵庫を
お祝いに送ってしまっていたため、
まさかこんなことになるとは思わず、
当の日川も分割で冷蔵庫を返却できないとあっては
商品券の返却行脚をするといった次第です。
出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
6巻3話より

衝撃の序盤から始まる美味しんぼ。
そんな中、山岡と栗田はちょうど次の取材の
打ち合わせ中で京野菜の特集を組むため、
京都へ日帰り出張を企画する際中でした。

ふうん、女の人って京都が好きだね

日帰り出張に赴く山岡と栗田。
しかしそこには傷心旅行よろしくの日川がいました。

新幹線は自由席、
空気の読めない栗田は3列シートで同行を打診します。

どうにも落ち着かない日川・・・・
山岡はどうにもこのおかしさに納得がいかず、
日川にあれやこれやと人でなしの質問を投げかけます。
「女の人って京都が好きだね」、
「新婚旅行なんかも女の人は京都に行きたがるんだってね」

いたたまれなくなった日川がトイレに立った際に
鞄の隙から見えた封筒を不精にも開封します。

なんとその封筒とは日川の遺書でした。
日川はこの度で死に場所を探す宛てのない旅に出発する、
地獄活きの片道切符であることを山岡と栗田は察します。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
6巻3話より

山岡は機転を利かせ、
京都に着いたら食事をと栗田のファインプレーも
合わせ無理やりに招待します。

死の季節に芽吹く生命の炎

山岡が招待した食事 それは雪深い山奥の旅館でした。
さっそく主人とスコップ一本山中へ出向く山岡たち。
おもむろに雪を掻きわける旅館の主人。
そこに現れるのはなんと春を待望するフキノトウでした。
フキノトウはこんな真冬から春を待ちわび、
じっと自身の生命を燃やし待望している、
この命の輝きを山岡は日川に説きます。
徐々にではあるものの、心を開く日川・・・。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
6巻3話より

更に小川の枯れ葉をどけると、
そこには無数の魚たちが。

この魚たちも冬という死の季節でありながら
自身の命をつなぐために懸命に冬を乗り切ろう、
光に満ちた春を待とうという一心で
じっと冬を耐えていることを山岡は説きます。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
6巻3話より

人生 春夏秋冬 絶頂はない

これら命の芽吹きを目の当たりにした日川。
山岡は続けて旅館で食事へ招きます。

しかし日川はあんなに生命力に満ちたフキノトウや
魚を食事として提供されたことに嫌悪感を覚え狼狽します。

山岡はここまで読み切っていたのでしょう。
一時の感傷でフキノトウと魚の生命に触れただけで
食べられないという日川。

しかしこれまで食べてきた肉・野菜・魚はどうだったのか、
自分という肉体と精神を構成するには
他者の命を食べなければ維持できないことを
再認識するべきと断じます。

そしてその背景には、日川自身の弱さが招いている 
早く人間としての自尊心を取り戻すべき 
食って血肉にしろと山岡は命の尊さを説きます。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
6巻3話より
日川はその言葉を受け、
フキノトウ、そして魚を食し命の鮮烈さを感じ
生きる気力を取り戻します。

料理は人を感動させてこそ芸術になる。
図らずとも父親 海原雄山から学んだことを実践してみせる
山岡が魅せる回です