漫画レビュー

【美味しんぼ】臭さの魅力

美味しんぼを読んでみたいけど
「巻数が多すぎて読むのに時間がかかりすぎる」と
お悩みの方は多いのではないでしょうか。

そんな令和な人におすすめなのが、
本ブログの美味しんぼまとめです。

各回のまとめを覚えれば時間短縮はもちろん、
日常生活でするりと美味しんぼの名言を
活用することが可能になります。
もっと効率よく美味しんぼから蘊蓄を吸収したい方や、
大昔に美味しんぼを読んで記憶を取り戻したい方は
ぜひ参考にしてください。

今日覚えたい美味しんぼ


フランス人はとてもプライドが高いこと

味覚の野蛮人アメリカとフランスを
比較してはいけないこと

文化が違えば匂いの感じ方は異なること

要点は抑えましたね、さあ行きましょう。

物語冒頭

今回は美味しんぼ定番の
フランスNo1のフランス人登場回です。

東西新聞社はフランスで一番権威のある新聞社と
業務提携を結ぶ運びとなり、
そのために会食にショーバン社主を招きます。

しかしこのショーバン社主、
美味しんぼではもはや恒例となっているように
フランス人の食に対する母国愛は恐ろしく
おまけに美食家ときました。

会食スタートからいきなりのフランスマウントを
お見舞い申し上げます。

日本料理はオードブルの寄せ集め・主品がない中
名誉あるフランス料理と肩を並べるほどのものなのか、と
いい顔でドヤってくれます。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻5話より

しかしここはビジネスの場、
大原社主もかろじてこらえいざ会食が始まります。

まずは日本の香りの代表格松茸の焼き物です。
東西新聞社メンバー含め日本人はその高貴な香りに
唸ります。
が、フランス代表ショーバン社主の見解は異なりました。
これは香りではなく異臭だと切り捨て、
これをありがたかるなんでまるでシロアリだとまで
言い放ちます。

今日は完全にショーバン社主の回です。
可哀そうに、本当の香りを知らないなんて。
このトリュフを嗅いでみなさい。
本当のキノコを教えてあげます、といわんばかりに
自前のトリュフを振る舞います。

なんだかクスリでもやってるような恍惚感です。


出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻5話より

しかし大原社主の見解は異なりました。
味もそこそこ、舌触りはジェリービーンズのよう・・・
ここでショーバン社主の逆鱗に触れます。
あ、あの味覚音痴の野蛮人 
アメリカ人の好物とトリュフを一緒にするのか、と
関係ないアメリカ人をディスってまで怒りを露わに。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻5話より

この一件で食事会は喧嘩別れとなりましたが、
翌日お互い食事の席で恥ずかしいことをしたと
謝罪で手打ちとなり業務提携は滞りなく進む模様。
しかし、再度の食事会をなんとしても成功させるべく
山岡に白羽の矢が立ちます。

山岡、またもアイディアがある様子・・・。
この喧嘩の仲裁をするには中国人しかいない。
中国人といえば・・・・。

食べ物の問題を解決するには中国人しかいない

そう、中国人といえば周大人。
今回の食事会の取り仕切りを依頼します。
中国四千年の前に解決できぬ問題などない。

そして日を改めた食事会当日です。
今回、どのような形で決着を迎えるか・・・。

まずはフランスを代表するチーズ リバロです。
早くも普通の会食ではない様子が漂います。
しかし、このリバロ 
やはり香りが強いチーズでした。
大原社主の鼻腔を強烈に刺激します。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻5話より

また喧嘩勃発か・・というところに
周大人、クサヤを登場させます。

クサヤを嗅ぐショーバン社主。
リバロの大原社主と同様のリアクション。


出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻5話より

中国の文化からしたらどちらも肥溜めよ

そしてここでネタ晴らし。すべて周大人の掌の上。
中国人からみればリバロもクサヤも
肥溜めの匂いだと大笑いします。

そして文化の違いから自分たちが良いと思っている
香りも他人には悪臭にしかないという話は
よくあることだ、と説きます。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻5話より
山岡はこの香りの特性について説明します。
久々の山岡蘊蓄です。
リバロのチーズはウォッシュチーズといい熟成時に
表面をワインで洗って熟成させるもの。
このワインで洗うことにより香りを醸し出す
菌の発酵を促している。

一方、クサヤも魚を干す際に乾かぬ間に
塩水・そして魚の内臓を混ぜ込んだ液をかけて
発酵を促すもので、
お互いにタンパク質を発酵によって分解する、
ルーツは同じものであることを説明します。
 
出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻5話より
大原社主・ショーバン社主共に周大人の計らいもあり、
お互いの文化の尊重を発酵食品を通して
理解し、無事和解へとこぎつけました。

乳酸菌発酵の力

最後に山岡はこれまでの話を踏まえ
日本の鮒ずしを振る舞います。

鮒ずしも日本を代表する発酵食品の一つ、
発酵の香りがチーズに近く、
これなら、とショーバン社主も太鼓判を押します。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻5話より

この後、鮒ずしの工程見学を提案し
鮒ずしの発酵は乳酸菌が関係していることから
チーズとの親和性の高さを説きます。

世界各国、発酵食品は多岐にわたりますが
源流は同じでも文化が違うことで美食にもゲテモノにも
見えてしまうのが面白いところです。

台湾の臭豆腐、
スウェーデンのシュールストレミング、
イヌイットのキビヤックなど
なかなか日本でお目にかかれない世界ですが
死ぬ前に一度経験してみたいものですね・・・。
その際はこの回の話を忘れずに
異文化を尊重して臨みたいものです。