漫画レビュー

【美味しんぼ】青竹の香り

美味しんぼを読んでみたいけど
「巻数が多すぎて読むのに時間がかかりすぎる」と
お悩みの方は多いのではないでしょうか。

そんな令和な人におすすめなのが、
本ブログの美味しんぼまとめです。

各回のまとめを覚えれば時間短縮はもちろん、
日常生活でするりと美味しんぼの名言を
活用することが可能になります。
もっと効率よく美味しんぼから蘊蓄を吸収したい方や、
大昔に美味しんぼを読んで記憶を取り戻したい方は
ぜひ参考にしてください。

今日覚えたい美味しんぼ


竹林の贅沢さはわかる人でないとわからないこと

中国料理にかかれば竹料理は既に通過していること

スズキの包み焼きには青竹が最良であること

要点は抑えましたね、さあ行きましょう。

物語冒頭

今回は、東西新聞社メンバー、
夏季休暇最後の休みを使った鎌倉散策回です。
鎌倉といえば、竹林。竹林といえば、鎌倉。

山岡は前回田畑から借金した返済がまだのようで
今回も荷物持ちです。

一同は散策中に広大な竹林に出くわします。
あまりの荘厳さにここで昼食をとろうと
近くで竹林整備をしている爺さんに許可を取り付けます。
散策の竹林で昼食とはなんと文化的、余りにも優雅です。

竹林管理のおじさんは快く了承してくれ、
お礼にと昼食を共にします。

この男、このあたりの土地の管理を任されており
竹林管理がライフワークとなっている模様。
春には筍をご馳走する、と息巻いたものの
ふとあることを思い出し、ご馳走ができないことを謝罪します。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻2話より

と、いうもののこの竹林は持ち主の意向で
竹林の撤去が決定され、
代わりに別荘が建つ予定であることを告げる管理人。
山岡はこれだけの竹林を潰すことに嘆きます。

そこに待っていたかのように
持ち主の有名社長が視察に訪れます。

まるで山岡と衝突するためだけに現れたような
タイミングの良さ・・・

自然財産は誰の物

見事な竹林を潰すという所有者の前に、やはり山岡
噛みつかずにはいられません。
別荘よりも竹林を維持することの贅沢さがわからない
感性の持主だとは、と煽ります。
事実、竹林は放置していると大変に成長が早く
ほかの土地や家屋まで荒らす厄介者の一面もあり、
そういった特性からも金・時間と労力をかけてまで
美しい竹林を維持することの贅沢さを山岡は説きます。

しかし社長は、若造の言うことと一笑に付し、
別荘の設計が完了する前に竹林を潰すことを指示し
その場を去ります。



出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻2話より


暗雲立ち込める鎌倉散策となった
東西新聞社メンバー一行。

それから数日後、フランス料理を食べる機会があり、
そこでリヨン風スズキのパイ包み焼きに出会うことで
山岡にある閃きが走ります。


出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻2話より


竹林とスズキのパイ包み焼き、全く話が見えてきません。
しかし山岡には既にゴールシュートを決めるまでの
方程式が脳内に完成されていました。

さっそく山岡は大原社主を利用し、
件の社長を食事会に招きます。

場所は銀座デパートのグルメストリート、
社長完全にアウェイに引き込まれていることも
まだわかっていません。

やっぱりフランス料理は世界一ィィィ

そこに招待を現す山岡。
あの時の若造か、と
怒りをあらわにする社長ではあるものの

山岡は意に介さず今日はスズキ尽くしでもてなすと
まずはスズキの奉書焼きを提供します。
(ちなみに私はこの料理を食べたことがない・・・)


出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻2話より
次にスズキのパイ包み焼きです。
山岡が閃きを得た逸品です。
ちなみに当然、私はこれも食べたことがない・・・。
社長はスズキのパイ包み焼きが好物の模様。
味にご満悦です。



出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻2話より

ここまでは順調の模様、
最後に山岡が提供したスズキは・・・・
一見、蒸し焼き?のスズキです。
これには先ほどまでパイ包み焼きを満足そうに
食べていた社長も激高。
そもそもこれで激高する社長も社長ですが、
大原社主の気の毒そうな顔が良い。



出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻2話より

中国四千年の歴史にひれ伏す

たまらず山岡に当たりだす大原社主。
しかし・・・さすがは世界の美食を銀座に集める総帥、
真っ先に理解します。

この香り・・・・ただの蒸し焼きではない。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻2話より

思わずスズキを口にする社長。
今まで経験したことのない風味、
そして嗅いだことのない鮮やかな香り・・・・
これは一体・・・

ここでネタばらし。
山岡は調理場へ行き、
青竹の香りであることを説明します。

なんと今回の料理人はあの周大人直々の調理です。
周大人、ノリノリでスズキの青竹焼を解説します。
おまえたち西洋かぶれの味覚は中華料理においては
既に四千年前に通過している、といわんばかりの
説明に一同は感嘆するばかりです。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻2話より

山岡は物語の締めにかかります。
冒頭に出てきた奉書焼きは奉書自体に
味があるわけではなく包みとしての効果しかない。

一方、パイ包み焼きはパイ生地に
スズキの旨味を吸収され、
スズキ自身から味が抜けるということを指摘します。

そのことについて中華料理の歴史では
すでに通過・到達していた課題でした。

中華料理では青竹を焼いて食材を封じ込めることにより、
青竹の香りをまとわせなおかつスズキの味を保ったままの
青竹焼きなる技法を完成させていたのです。


出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻2話より

社長、最後の最後に気づきます。
この青竹は・・・・自身の土地の竹であることに。

そして周大人からも
これほど見事な竹は中国でもそう簡単に手に入らないと
太鼓判を押され、自信の竹林の価値、
そして文化的意義を見出し最後に竹林の保存を決定します。