漫画レビュー

【美味しんぼ】技巧の極致

美味しんぼを読んでみたいけど
「巻数が多すぎて読むのに時間がかかりすぎる」と
お悩みの方は多いのではないでしょうか。

そんな令和な人におすすめなのが、
本ブログの美味しんぼまとめです。

各回のまとめを覚えれば時間短縮はもちろん、
日常生活でするりと美味しんぼの名言を
活用することが可能になります。
もっと効率よく美味しんぼから蘊蓄を吸収したい方や、
大昔に美味しんぼを読んで記憶を取り戻したい方は
ぜひ参考にしてください。

今日覚えたい美味しんぼ


鯛を知るには鯛と泳ぐこと

塩の比率は料理を生かしも殺すもすること

海原雄山と山岡士郎はやっぱり親子であること

要点は抑えましたね、さあ行きましょう。

物語冒頭

今回は、山岡そして海原雄山の師匠 
唐山陶人の喜寿祝いを料亭で行うと本人から
誘いを受けた山岡と栗田。

唐山陶人はかねてから弟子である海原雄山と山岡士郎の
関係を修復しようとことあるごとに苦心する
苦労人の一面もある。

そんなわけで祝賀会当日、
数々の趣向を凝った料理がもてなされる中
参加者の趣向で鯛料理を
唐山陶人の皿で彩る品評会を提案します。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻3話より

その趣向に山岡士郎へ参加を打診する唐山陶人。
しかし海原雄山と山岡、
二人がいる空間で料理の話はまさに水と油。

懐石料理への挑戦

やはり事件は勃発しました。
さっそく海原雄山が
山岡を相手にマウンティングをとります。

鯛は魚の中でも一つの料理とカテゴライズされている
研究の進んだ領域、
とても素人が首を突っ込めるものではないと釘をさす。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻3話より

これに対して山岡も火がつきます。
山岡も半ばイチャモン感が否めませんが、
素人の目線から鯛料理に一石を投じると啖呵を切ります。


出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻3話より

明石海峡という郷に従う

かくして山岡は鯛を知るため、
兵庫は明石海峡へ出向きます。
鯛を知るには鯛と泳いで鯛を知る理論です。

この理論に栗田は呆れかえります。
女にはわからない世界があるのさ・・・。

飛び込んだはいいものの、すぐに溺れて救出される山岡。
しかしただ溺れただけはではありませんでした。
山岡、鯛料理のヒントを得てしまいます。

そのヒントとは海の水・・・。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻3話より

塩の濃度

品評会当日、山岡が満を持して用意した料理、
それは鯛の干物でした。

これには参加者も絶句・・・。
海原雄山も鯛の干物の不完全さを説きます。
干物に適した魚とは肉質に独特の香りがあり、
身が柔らかくなければいけない。
その点、鯛は繊細で香りも微弱であり、
なにより身が締まった鯛では
干物には向かないことを指摘します。

しかし、せっかくだからと一同箸を取ります。
食べるや否や絶賛の嵐、これには海原雄山も口にします。
そしてさすがは海原雄山、その秘密を一瞬で見抜きます。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻3話より

塩かっ・・・・この面くらった海原雄山を
なかなか拝むことはできません。
貴重な1シーンです。

そう、この鯛の干物の味の正体。
それは味付けは塩だけであるものの
鯛の身の味と塩見が絶妙完璧に調和していることで
生み出されていたものでした。

手法自体はただの干物。
捌いた鯛を干物用のつけ汁につけて天日干しするだけ。
ただこの工程に鯛の生まれ育った
明石海峡の塩分濃度に近い塩加減で
加工としたというのです。

これには唐山陶人も納得、
技法を駆使した鯛料理も見事、
しかしながら鯛料理の原点を追求したような
解釈が見事と判を押します。

ただ、これに海原雄山は猛反論。
料理とは、
芸術とはなにかを説き山岡士郎の調理は
芸術の否定だと両断。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻3話より

もう・・・いつも絡んでくるんだからこのパパ・・・・
が、最後に締めてくれたのは師匠の唐山陶人でした。
お互いアプローチが異なるだけで目指す頂は同じであり、
山の登り方をお互いが否定しているだけだと
物語の核心をつきます。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
5巻3話より

これにはぐうの音もでない二人。
さすが唯一の二人の理解者ともいえる唐山陶人。
5巻の時点ではまだま和解の兆しすら
見えないこの二人です。