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【美味しんぼ】酒の効用

美味しんぼを読んでみたいけど
「巻数が多すぎて読むのに時間がかかりすぎる」と
お悩みの方は多いのではないでしょうか。

そんな令和な人におすすめなのが、
本ブログの美味しんぼまとめです。

各回のまとめを覚えれば時間短縮はもちろん、
日常生活でするりと美味しんぼの名言を
活用することが可能になります。
もっと効率よく美味しんぼから蘊蓄を吸収したい方や、
大昔に美味しんぼを読んで記憶を取り戻したい方は
ぜひ参考にしてください。

今日覚えたい美味しんぼ


ワインの知識と味覚の鋭敏さに関係はないこと

日本酒とワインの管理は同じであること

エスカルゴのマリアージュは日本酒であること

要点は抑えましたね、さあ行きましょう。

物語冒頭

今回は小泉局長初登場回であり、
日本酒のスーパー蘊蓄会です。
この回のおかげで私は訳が分からなくても
白ワインはシャブリと言っとけば間違いないという
人生を過ごしています。

話はいきなり、
社主と局長という2大トップを前にして
呼び出しを食らう文化部メンバー。

小泉局長は入社以来海外勤務を経験した
バチバチの西洋マインドの持主。

それが日本に帰ってきたら採算の取れそうにもない
究極のメニューというものに
期日も決まっていないような
プロジェクトが始動している、
局長として断固反対というものです。

社主に物言える数少ない人物である小泉、
直々に山岡と栗田を試すといい、
二人を食事に連行します。

そこでいきなり、
自前のワインを持ち出しこれがわかるか、とドヤります。
山岡は返す刀で味覚の鋭さとワインの外見の知識になんの関係が?と返答します。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
4巻4話より

いっぱしの口を利くじゃないか、
グータラ社員の分際で・・・

まぁいい 味を見てみろとテイスティングを始めます。
山岡、待ってましたとばかりに
あんなにワインの外見的知識について言及していたのに
しっかりワインの外見も味も満点の回答をします。
すごいね、英才教育。

しかし山岡はいいワインであるが
今日は日本酒をもらいたいと言い出すと、
小泉局長は日本酒なんて下等な酒を頼むのか、
と日本酒をいきなりディスりはじまります。

日本酒は下等 ワインは上等という考え

小泉局長の言い分を聞く、
山岡 久々のこのパターンです。

小泉局長は入社後、パリ支局に飛ばされ
そこから彼の酒の歴史は始まったことを話します。

そこから20年以上ワイン漬けの道を歩み
日本へ帰ってきた後に日本酒に触れたこと、
それも大企業が広告費を大量に投じる
一流メーカの酒ばかり飲んだがどれも
飲むに足らない味わいに失望したことを
話始めるのです。


出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
4巻4話より

一呼吸おいて山岡
ついに伝家の宝刀が抜き身になります。
「明日、俺が持って来る日本酒を飲んでほしいんです」

本当の日本酒をご馳走してさしあげますよ、
そう言い出し
翌日山岡は小泉局長と栗田を連れて酒屋へ行き、
数種類の日本酒を購入します。
テレビで宣伝している日本酒、
店に瓶のまま陳列されている純米酒、
そしてワインセラーに似た
薄暗い酒屋で箱詰め陳列されている大吟醸です。

この3種の日本酒をもち、いざ試飲会の始まりです。

酒の製造から販売までのリレー


まずはテレビでよくみる日本酒です。
が、飲んだ瞬間の小泉局長です。
出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
4巻4話より

次に箱詰めされ
しっかり紙で包装された日本酒を提供します。

すると先ほどの大手メーカーのものとは異なった
比較にならないうまさだと小泉局長は評します。
山岡は最初に提供した大手メーカーの
原材料に着目し説明します。

大手メーカーの酒は純粋な米から精製しただけでなく、
添加物で3倍に希釈したものであることを説明します。

そして2杯目に提供した純米酒こそ
希釈なしの米から作った酒 
だから純米の酒だと説きます。

山岡はこれこそ文化の破壊だと憤りをあらわにします。
本来はコメ不足の時に発展した
生産技術であることは認めつつも、
3倍希釈であることを明記せず
逆に米だけで作っている酒を純米酒と名乗らせる。
印象操作による文化の貶めだと。



出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
4巻4話より


次に、瓶のまま陳列されていた
純米酒を飲んでもらいます。

おかしなことに同じ純米酒のはずなので
味は格段と落ちる様子。

これについて山岡はワインの管理と同じく
管理の問題だと説きます。

それもそのはず、純米酒である以上、
防腐剤や添加材が入っていないため、
品質管理を徹底しないとすぐに
紫外線の影響で味が劣化する。

なぜワインでは一般的とされている知識が
日本酒には適用されないのか、
これが日本酒の第2の悲劇だと山岡は嘆きます。

そして最後に山岡は
ワインのマリアージュについても言及します。
ウニとカラスミとクチコ、
魚介癖強3姉妹を登場させ
ワインと合わせて飲むように勧めます。

しかし結果は生臭さが際立つ結果となり、
結局マリアージュとは程遠い結論に至ります。
そこで日本酒 白鷹の極上を取り出し、
マリアージュしてみることを勧めます。

山岡、海の幸には
日本酒が第一の組み合わせであることを強調します。
白ワイン界で魚介類と一番マリアージュされるといわれて
よく引き合いにされるシャブリ、
しかし山岡はそれでも生臭さが引き立つといいます。

次にワイン界最大の鬼門
エスカルゴとのマリアージュを提案します。
エスカルゴは魚介でもなければ肉でもない。
よく赤ワインは肉 白ワインは魚介と言われる中、
フランス料理の定番ともいえるエスカルゴには
この当時、マリアージュが難しいと言われていた模様。

そこで山岡は越乃鹿六をマリアージュするよう勧めます。
そこにはワインでは出せない、
エスカルゴと日本酒の確かなマリアージュがありました。

西洋コンプレックスと酒

ここまでくると小泉局長も自身の胸中を激白します。
若いときから海外赴任を経験させられ、
西洋文化を身に染みて痛感した時代。

そして質の悪い日本酒を飲んでしまった先入観から、
日本は酒文化のない貧しい民族であると
西洋コンプレックスを抱いていたことを吐露します。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
4巻4話より


この話を機に、食文化の奥深さを理解した小泉局長。
率先して社主に
究極のメニュー作りの長期プロジェクトを提案する
推進派となるのでした。