漫画レビュー

【美味しんぼ】活きた魚

美味しんぼを読んでみたいけど
「巻数が多すぎて読むのに時間がかかりすぎる」と
お悩みの方は多いのではないでしょうか。

そんな令和な人におすすめなのが、
本ブログの美味しんぼまとめです。

各回のまとめを覚えれば時間短縮はもちろん、
日常生活でするりと美味しんぼの名言を
活用することが可能になります。
もっと効率よく美味しんぼから蘊蓄を吸収したい方や、
大昔に美味しんぼを読んで記憶を取り戻したい方は
ぜひ参考にしてください。


今日覚えたい美味しんぼ

子供の味覚は侮れないこと

活〆の手法は捌きたての魚に劣らないこと

鮮度だけが魚の良し悪しを決定づけないこと

要点は抑えましたね、さあ行きましょう。

物語冒頭

突然ですが、
みなさんアジの王様 シマアジを食べたことはありますか 
私はありません・・・。
 
今回はそんなシマアジが主役の話です。

山岡と栗田は谷村部長に連れられ日本最大の電機メーカー 
 
大日エレクトロンの黒田社長が新築した
軽井沢のゲストハウスに招待されました。

そこでは、黒田社長自らが腕を振るい、
ゲストに料理を振る舞う趣です。
 
会場は黒田社長を囲んだ円卓式の装いでした。
 
設備も凝りに凝りなんとボタン一つで魚の水槽が立ち上がり、
そこで泳いでいる新鮮な魚をその場で捌くという装置まで
実装されていました。
さすが昭和のバブルは恐ろしい。何よりその発想が恐ろしい。

そしてこのタイミングで
なぜ社長を囲んだ円卓式なのかがわかります。
  
出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
2巻2話より

なんと時代を先取りした
回転寿司スタイルを採用していました。

果たしてこの時代に回転寿司が存在していたか
定かではありませんが社長の発想力には脱帽です。

水槽からシマアジを捕り、
ゲスト用に社長が直々に捌きたてを回転レーンにて
提供します。

金持ちの世界をまざまざと見せつけられるゲストたち
シマアジの味は二の次に社長に最大限の賛辞を送ります。

実に愉快だ 社長の胸中の声が聞こえてきます。

しかし本日はおもわぬ伏兵がいました。

そう、平社員の一人息子の存在です。

社長は社員の息子に対し、
シマアジの出来について感想を伺います。

少年の社会人力が試されます。

しかし、回答はその家族を一気に地獄へ突き落すには
充分なものでした。

ばあちゃんの家で食べたシマアジのほうが美味い

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
2巻2話より
この父親の顔よ

はじめのうちは、社長もさすが大人です。

シマアジのような高級魚は
子供には早かったかなガハハと大人の対応をとります。

しかし少年は食い下がります。
そうではない。
俺はおばあちゃんの家でおまえよりうまいシマアジを
数えきれないほど食べている。
シマアジについてはお前の舌より確かである、
といわんばかりに反論します。
自分の孫ほどの子供にそこまで言われる社長 
ついに激高します。沸点が低すぎます。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
2巻2話より

せっかくの休日にお前のような平社員家族を
俺の別荘に招待してやっている、
それなのによくも俺の顔に泥を塗ってくれたな
せっかくの日曜日を潰された平社員の気持ちなんて
察する度量もない社長
もはや自慢のシマアジ水槽のデビュー戦に
ケチをつけられた、その気持ちでいっぱい。

落としどころがわからなくなった会合は、
山岡の一言で急展開を迎えます。

子供の味覚は忖度を知らない

10

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
2巻2話より

ついに山岡が牙を剥きます。

更に激高する社長、
私の料理にケチをつけにきたのかと憤ります。

しかし山岡は口で言ってもわからないだろう
本当にうまいシマアジを持ってくることを約束し、
その足で神奈川県三浦半島 三崎へ向かいます。

そして水揚げされたシマアジを活締めにしてくれと
漁師に依頼。栗田は驚きます。

それもそのはず。
これまでフォアグラより新鮮なアンキモ 
季節外れの鮎は論外と、
あれほど鮮度が料理における重要な要素であることを
物語で言及してきた山岡。

それがここにきて
魚をあえて締めて殺してしまうといいます。

果たしてこれで水槽で直前まで生きていたシマアジに
どうやって鮮度で勝てるというのか
栗田の顔に不安が広がります。

締めたシマアジをもって社長のもとへ、
そして刺身による食べ比べを行います。

栗田の不安をよそに
結果は山岡がもってきたシマアジの圧勝でした。

人間だったらどうでしょうね

山岡は答え合わせを始めます。

社長の水槽のシマアジは5日ほど前に水槽へ移され、

そこから餌を一切与えない飢餓状態

しかも空腹のまま、
慣れない水槽の環境でストレスによる疲弊

一方、山岡のシマアジは
ついさっきまで大海原で餌を食べ、
血中に栄養が生き渡ったものを鮮度を生かした手法 
活〆で処理したシマアジ
人間で考えたらどちらが健康か一目瞭然だと山岡は説きます。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
2巻2話より

しかし、さすがは大企業の社長です。

非を認め純粋な子供だけが忌憚なき意見を
自分に進言してくれた
唯一の意見者だと改心します。

その後、社長は社員家族一同に
ディズニーランドのチケットを贈呈し
懐の広さを見せつけ、物語は完結します。