漫画レビュー

【美味しんぼ】平凡の非凡

美味しんぼを読んでみたいけど
「巻数が多すぎて読むのに時間がかかりすぎる」と
お悩みの方は多いのではないでしょうか。

そんな令和な人におすすめなのが、
本ブログの美味しんぼまとめです。

各回のまとめを覚えれば時間短縮はもちろん、
日常生活でするりと美味しんぼの名言を
活用することが可能になります。
もっと効率よく美味しんぼから蘊蓄を吸収したい方や、
大昔に美味しんぼを読んで記憶を取り戻したい方は
ぜひ参考にしてください。



今日覚えたい美味しんぼ

鯛は4月を過ぎると
産卵で痩せて味が落ちること

鮎漁の解禁日は6月で
5月には絶対に入らないこと

京極さんはうまい飯を食わせれば
大体言うことを聞くこと

要点は抑えましたね、さあ行きましょう。

物語冒頭

連載4回目も私の好きな神回の一つです。

特に題名の「平凡の非凡」というのが
非常にしっくり来ている内容です。

今回は今後美味しんぼの準レギュラーとなる、
京極さん・岡星さん・辰さんが登場します。

東西新聞社事業部の肝入りで企画されている
美術展の目玉として、
京都の億万長者 京極万太郎の保持している
ルノワールを出品してもらうための接待から始まります。

接待の料亭は、「花川」。
銀座だけでなく日本一の料亭と謳われている名店です。

前回、銀座一の寿司屋の話があったにもかかわらず
まったく懲りていません。

山岡も「花川・・・ですか」と意味深な言葉を残します。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
1巻4話より

その夜、花川で京極さんへの接待が始まります。

京極さんは食べることが何よりも楽しみ、
今日の接待に非常に期待しているご様子です。

終始和やかな歓談の中、料理が続々と登場します。

出された料理は順に、
「鯛の共皮あえとわらびのおひたし」
「伊勢海老の飛龍頭」、
「じゅん菜のおひたし」

先ほどまで和やかだった京極さんの顔が
徐々に曇りだします。

極めつけに
「アユの塩焼き」
が出されたところで堪忍袋の緒が切れました。

今は5月、なにもかもが季節外れ

京極さんは烈火のごとく激怒します。

鯛は4月を過ぎると産卵のために痩せて味が落ちる、

じゅん菜に至っては瓶詰の保存品、
鮎に至っては漁の解禁日は6月、
どうしたら5月に天然の鮎が手に入るのかと息巻きます。

それが人にものを借りる人間のやることか、
京都から出向いてきた人間に
東京の人間がやることかと捲し立てます。

ルノワール借用の件はなかったことにしてくれ、
そう言い捨て離席しようとする京極さんに
山岡が助け舟を出します。

相手を怒らせ自分の土俵に上げる、
これまでも繰り返されてきた必勝パターンです。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
1巻4話より

「どうです、明日もう一度ごちそうさせてくれませんか?」

ダメだった場合、丸坊主にするという条件を飲み、
花川以上の店を知る男、辰さんの元へ向かいます。

辰さんとは銀座のホームレスで
一流料亭の残飯片付けを引き受ける一方、
銀座中の残飯から店の味を常に観察する
異色の料亭評論家でした。

山岡は花川の現状を聞くと、
辰さんからは
「今、あの店で食べちゃダメだよ」と
バッサリ一刀両断されます。

返す刀で
「今いいのは岡星だ あそこが今、ダントツだね」と
情報を入手します。

翌日、一同は京極さんを岡星へ招待します。

店に入るなり、
「この若造が京極万太郎の舌を唸らせるか。
容易なものでは承知しない」と息巻きます。

白飯とみそ汁、そしてイワシの丸干し

そこで提供されたものは一見何の変哲もない白飯、
みそ汁、そして丸干し・・・

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
1巻4話より

これが今、銀座で勢いのある料亭が出す料理・・・・

終わった、ルノワールなしの美術展・・・

もはや回生不可能の展開に京極さんが声を上げます。

さすがは食通といわれる京極万太郎。
その辺の俗物とは一線を画す審美眼を見せます。

京極万太郎が今の財産を築けたのは
米相場で大もうけしたことが始まりであり、
米には並々ならぬ感情を抱いていることを話し始めます。

そして一口食べるや否や、
コメの素性を産地から品種まで当てます。

美味しんぼ始まって以来の食通らしさが光ります。

米の素性だけではなく、
米の炊きあげ方についても導きます。

料理を通した一流の職人と客の会話とはこういうものか、
というものを見せつけられます。

続いてみそ汁も同様に大豆からだしの取り方、
豆腐にまで言及します。

極めつけが土佐の丸干し。
京極さんの故郷 高知の味で心を揺さぶります。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
1巻4話より

 

あんた、海原さんの息子じゃないか?

「ここまでうまいメシは何十年と食うたことない、

日本人に生まれた喜び味わわえてもろうた。
ワシのルノワールを好きに使ってくれ。」

と最高の賛辞を頂戴します。

これにて一件落着、となるところ京極さんから

「あんた、会った時から気になってたんだが
海原さんの息子じゃないか?」と問われます。



出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
1巻4話より

美味しんぼ始まって以来見たことのない顔をして
山岡さんは顔をそむけ、
「海原なんて人間は知らない、人違いだ」と
それ以降口を紡ぎます。

とにもかくにも問題を解決した山岡、
辰さんと夜の闇に消えていきます。

食材でも突き詰めることで非凡となりうる、
人の感動は食材だけでは生み出すことができないと
訴える回です。