漫画レビュー

【美味しんぼ】寿司の心

美味しんぼを読んでみたいけど
「巻数が多すぎて読むのに時間がかかりすぎる」と
お悩みの方は多いのではないでしょうか。

そんな令和な人におすすめなのが、
本ブログの美味しんぼまとめです。

各回のまとめを覚えれば時間短縮はもちろん、
日常生活でするりと美味しんぼの名言を
活用することが可能になります。
もっと効率よく美味しんぼから蘊蓄を吸収したい方や、
大昔に美味しんぼを読んで記憶を取り戻したい方は
ぜひ参考にしてください。


今日覚えたい美味しんぼ

驕った気持ちで寿司を握ると
ネタとシャリが泣くこと

シャリをCTにかけると
シャリを握る腕前がわかること

心の入らない寿司は
シャリとネタの塊だということ

要点は抑えましたね、さあ行きましょう。

物語冒頭

連載開始から3回目となる寿司の心ですが、
早くも美味しんぼ回では伝説となっている
銀五郎が登場します。

前回、アンキモを通して食通たちを唸らせた山岡ですが、
究極のメニュー作りには乗り気でない様子。

それを見た幹部一同は
山岡と栗田を銀座で一番の寿司屋
「銀五郎」に食事を招待します。

しかし入店したばかりの栗田は驚愕の光景を目にします。

そこは店主が客を選ぶ類の店で
店主銀五郎から客への怒号が飛び交っていました。

「俺のスシは芸術品だ、それを崩しやがって」

「おまえらに食わせるスシはねえ」

「とっとと出ていけ」

一流の職人の技は一流の顧客でなければ理解できない、
ここはお前たちが敷居を跨ぐ場所ではない。
そういわんばかりの接客が眼下で行われていました。

              
出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
1巻3話より

銀五郎劇場はこれでは終わりません。

次の標的は栗田です。
注文を迷うしぐさを見るや否や、
「自分が何を食いたいかわからない貧乏人」

「うちみたいな一流の店は無理だ」

極めつけは
「スーパーのパックの寿司がお似合いだ」

と、これは寿司屋の形をしたSMクラブなのではないか、

まさか会社の金で食べる高級寿司は
こうもハードルが高いのか、
新卒の栗田にはあまりにも酷な社会勉強となります。

さらに畳みかけるように山岡は言い放ちます。

こんな店のスシより
スーパーのパックのスシのほうが
よっぽどうまいぜ

「ネタは最高、シャリも最高、だがオヤジ、
肝心のお前の腕が最低だ。
せっかくのネタもシャリも泣いてらあ」

べらんめえ口調で山岡が続けます。

「日本てなあ不思議な国だよ、
客のくせにペコペコするのがいるから、
バカな料理人がつけ上がるんだ」

ここまで煽られた銀五郎、
当然のように(?)包丁を振り回して激怒します。

しかし既に銀五郎、山岡の術中に嵌っていました。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
1巻3話より

自分は日本の美食の中心・銀座で
日本一と謳われている銀座 銀五郎の主人だ。

それをサラリーマン風情の若造が
本物のスシを説いている、

これ以上の侮辱はないといっても
過言ではないでしょう。

作中には出てきませんが
当然銀五郎にも修業時代があり、
この時代当然のように苛烈な下働き時代を経験し、
その積み重ねがあって
今日本一の看板を掛けていることと推測します。

その銀五郎の心境いかなるものか。
ここまで言われたら引き下がるわけにはいきません。

伝説の職人「しんとみの冨二郎」

翌日、山岡はみなを引き連れ、
東京都中央区佃島にある「しんとみ寿司」に出向きます。

しんとみ寿司に入るや否や大原社主、
しんとみ寿司の職人が銀座一の名声を欲しいままにし
ある日突然姿を消した
伝説の職人
「しんとみの冨二郎」であることに気づきます。

挨拶もそぞろに
伝説の銀座一・最新銀座一の握った寿司を
目隠しで味比べをすることとなりました。


出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
1巻3話より

 

科学的に証明される 寿司のココロ

銀五郎は納得がいきません。

いきなりアウェイに連れてこられて
審査員は全員東西新聞社の人間たち。

こいつらは全員グルだ、嵌められている。
そんな心境が伺え評価に納得がいきません。

そこで山岡は
「味の誓いをおまえの眼に見せてやる」といい、

握った寿司をそのまま大学病院にもっていき、
CTスキャンをかけます。

寿司屋からいきなりの大学病院展開に当時は???
でしたが、美味しんぼの勢いにそれは通用しません。

冨二郎と銀五郎の寿司が現代技術によって
科学的に解明された瞬間です。


出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
1巻3話より

ここでは美味しんぼが連載を通して一貫して主張する、
料理とは食材・腕・人を思う心 
これらすべてが調和して初めて芸術となりえるという
話の一端が垣間見れます。
特に寿司のような繊細な料理は、
シャリを握る技術・ネタを仕込む技術
それらをまとめ上げて握り上げる技術 
これらの調和がなくとは
ただのシャリとネタの固まりになりえてしまう、
ということを非常にわかりやすく
訴える回だったと感じています。

出典:『美味しんぼ』
原作:雁屋哲・作画:花咲アキラ
1巻3話より

ついに銀五郎、観念し
「俺をどうしようってんだ」と狼狽しますが、
山岡は「言わずにはいられなかった・・・」と
斬捨てます。

物語の最後に大原社主が
「これで銀五郎も昔の腕を思い出すだろう」という
セリフを放ち店を出るシーンがあり、
恐らく大原社主はこうなることを最初から
知っていて
山岡をこの店に呼び出したことが伺えます。

連載初期と後期では
大原社主もどんどん変わっていきますが、
個人的に大原社主が好きになる話です。